■ピッチィングフォームチェックポイント 2010.5.17
  速い球をコントロールよく投げる為に私が10年間教えてきたピッチィングフォームのチェックポイントです。

    ピッチィングフォームチェックポイント

 ■いいピッチャーになるための5つのポイント 2006.1.21
 
  第1回 いいピッチャーとは何か
  第2回 @リズムを一定に保つこと
  第3回 Aボールを離すポイントを一定にすること
  第4回 B目をキャッチャーミットから絶対に離さないこと
  第5回 C体のバランスを乱さないこと
  第6回 D「狙ったところに投げる」強い意志を持つこと
  最終回 自分を信じることが一番だ

 ■ピッチィングフォーム徹底分析


第6回 桐村 渉投手(三河スターズ−北部クラブ)2010.4.20

   〔右後方〕


紹介:桐村は私が教えて卒団した投手としては3人目のエースとなる。小学校3年生の時、近くの公園でキャッチボールをしている時に声を掛け入団してきた。それからエースとして自覚を持たせてきたが、6年生の春頃までは不甲斐ないピッチィングをすることもあり厳しく指導してきた。その後、キャプテンに任命し本人も奮起。夏以降は安定したピッチィングが出来るようになり、西三河選抜、ロータリー杯、吉良町長杯、お別れ大会の4大会連続優勝の立役者となった。特に夏以降は失点が4試合か5試合に1点程度と安定感を増した。また投手として守備、牽制なども上手く、今後の中学での成長を期待する。
フォームチェック:★★★★
 まず上の10枚の写真から分析すると、3枚目までは背筋が伸び体を上に押し上げる理想的なフォームとなっている。特に@の足を上げ始める時に軸が一直線となりグラブが高い位置にある。グラブが高い位置にあることはそこに足を上げる為にも良い。ただ、4枚目のA上げた足の踵が軸足に沿うように上げると指導したがまだ少し離れている。以前はもっと離れていてバランスを崩すこともあったが、今は軸足が安定しているので良いが出来るだけ軸足に沿うように上げると良い。
 次に5枚目はBお尻をキャッチャーにしっかりと向けていて、これが「体の捻り」「軸足に体重が乗る」「体が突っ込まない」ことに繋がっている。6枚目はCステップするまで背番号が見えており体が開いていない。ただいつも言っていることだがグラブの位置をもう少し高くしたい。(ビデオでは修正しているが)
 7枚目Dはステップした時の形だが、まだ上体は開かずしっかりと胸が張れている。肘がセカンド方向よりに入り過ぎている感があり、これよく指摘するが元々トップの位置がしっかりしているので腕が横振りになり左右にボールがぶれることもない為、最近ではあまり言わなくなった。ただ今後は本人も意識してもらいたい。また、7枚目まで最近のプロ野球に代表されるように腰が高い位置にキープされており、これが目がブレることもなく大きい大の字を描くことにもなり力量感にも繋がり大きいフォームとなっている。
 8枚目Eはリリースポイントの形だが、少し腰が曲がり頭が下がっている。これも指摘してきたが以前よりも下がらなくなってきたし、以前はこのまま終わってしまっていたが、この後9枚目Fで素早く戻している。(ビデオでは頭の下がりはあまり感じない)
 最後の10枚目Gで軸足を蹴った後に足を高く上げ躍動感が出ているのが分かる。ようやくこの形が出来るようになってきたことがスピードアップにも繋がった。
 全体を通してビデオと写真を見ても分かるが目が一度もキャッチャーミットから離れず、ゆったりとしたフォームから柔らかい腕のしなりで伸びのあるボールを投げられるようになってきた。桐村には3年間指導してきたが教えたことが出来る柔軟性と向上心があり、これからも慢心せず謙虚な気持ちで更にいいピッチャーに育ってもらいたい。
第5回 間宮悠貴投手(北部クラブ−中京大中京)2009.2.22

   〔正面〕


紹介:少年野球の松平ニューボーイズを卒団後、北部クラブに入団し3年間指導してきた。小学校までは投手としての経験は少ないが、中学に入り頭角を現す。130キロ程度のスピードボールが武器で、北部クラブでは2年生からエースとして頑張ってきた。今後、高校での活躍が期待される。
フォームチェック:★★★★
 まず、先日撮ったビデオを見てもらいたい。全体的に力量間を感じる。特にテークバックからフィニッシュまでに力強さがある。教え始めていた頃は左足を上げてタメを作る時に右足の膝が曲がり過ぎて体重移動がスムーズにいかない癖があったが、現在は程よい軸足のタメになり体重移動がスムーズに行われるようになった。このテークバックからフィニッシュまでの形が、この年齢にしては素早く力量感があり下半身も使い頭の位置も下がらず最後までキャッチャーミットを見ているので安定感もある。ここが間宮の最大の長所だ。
 しかし、長所ばかりではなく欠点もある。左足を上げる時、遠回りして上がってしまっている。これでは軸足に負担が掛かり試合の後半に下半身に疲れが出てしまう。また最後に軸足を蹴った後、股が開いてままになっているので着地が遅れてしまう。もう少し腰を切って左足に体重を載せるようにと指導してきたが、まだ完全には解消されていない。股関節が硬いので、もっとストレッチが必要とされる。
 次に、腕の振りだが今まで肘や肩を痛めたことがなく柔らかいので、今後も故障しなければスピードは更に増すだろう。技術的には、テークバックが少し小さく胸の張りがあまりないので、肩のストレッチもして肩の可動域を広げ、腕がもっと遅れて出てくるとボールの伸びはもっと良くなる。それと、最後に腕をもっと前に伸ばしボールを離すと良い。まだ十分には左足に乗り切っていないので、左膝がつま先より前に出てくるようになると腕の振り幅も広がりダ低めの球も伸びが出てくる。まだ、上半身の力に頼っているので、もっと走り込んで上半身の力を抜いて投げられるようにするといいだろう。
 今後、高校で活躍するには投げるだけでなく牽制、守備、打力など総合力も上げなければいけない。厳しい競争に勝つには、どれだけ頑張れるか、今まで以上の本人の努力が必要となる。是非耐え抜いて花を咲かせてもらいたい。
第4回 小笠原広紀投手(名古屋国際高−中部大−ニッセイ)2008.11.11

   〔2008年の全日本大学選手権2回戦のピッチィング〕



紹介:中部大の大黒柱として愛知大学野球リーグ戦初優勝を遂げ、全日本大学選手権でも中部大をベスト8に躍進させた小笠原投手。成績も2007年春:3勝4敗 防御率2.03、2007年秋:4勝3敗 防御率1.89、2008年春:6勝3敗 防御率1.53(MVP)、2008年秋(中間発表):4勝0敗 防御率0.73(敢闘賞)と年々成長してきた。最後の年となる来年はライバルの愛学院の小川投手の投げ合いも楽しみだ。また、小笠原投手は中学時代は緑クラブ第17期生の2塁手で高校は名古屋国際と異色の経歴を持つ。決め球はカットボール。
フォームチェック:★★★★
上の記事は、全日本大学選手権2回戦の三重中京大を完封したもので連続写真はその試合の5回表のピッチングである。私が小笠原投手のピッチングを見たのは計7試合。この試合は立ち上がりが悪くどうかと思っていたが、この回あたりから徐々に良くなった試合で最後は完封した試合である。ただ、調子が悪くてもピッチングフォームはどの試合もあまり変わらず無理なく常に安定した投げ方が出来るのが小笠原投手の長所だ。
 では、細かく分析してみよう。1番目の写真は、左足を上げた形だが左足の踵が右足に沿うように上がっている。膝は直角で無理にそれ以上は上げようとしていない。軸足の膝も曲がらずピンと張って体の軸が一直線となっていい形だ。
 2〜4番目の写真は、左足を下げテークバックの瞬間。左足は上げた位置の近くに戻ろうとしてバランスを上手くとっている。また、右腕は一旦下げて上がってくるのだがコンパクト且つ無理なくスムーズに動いている。ここが、私が小笠原投手の一番好きな所だ。このようにコンパクトなのに柔らかく素早い動きが出来る投手はなかなかいない。止まらず常に動いているので力まないしギクシャクしない。この部分は指導しようとしてもなかなか変えることは出来ない。小笠原投手はこの動きが出来るのが強みだ。
 5番目の写真は、胸を張っているところでグラブの折り畳みがやや早い感がある。ただ、6番目の写真は腕が後ろに残っているので7番目の写真で分かるように、腕のしなりがしっかり出来ている。
 後半の写真は腕を振り下ろして最後のフィニッシュの形となる。腕を振り下ろした時に頭の位置がやや低くなるので胸を張って頭の位置を下げ過ぎないようにすることと、背中が丸くなり左に傾いている上半身を跳ね返し守備体勢に戻すことが出来ればスピードはもっと増すだろう。
 この登板の2日後の東海大戦の試合後にストレートのスピードが速くするといいと助言したが、今後の飛躍の為にアドバイスを送るならば、「左足をもう少し上げる」「グラブの折り畳みをもう少し我慢する」「少し跳ね返しを入れてみる」ことによりピッチングフォームに躍動感を出しスピードを増すことだ。
 同タイプでバイタルネットから日ハムに今年ドラフトされた2年前のエースで大学の先輩でもある谷元圭介投手を励みにしてストレートに磨きをかけ上を目指して130キロ後半のストレートを140キロ台に上積みすると更にカットボールも生きてくるだろう。今後の小笠原投手に期待している。

第3回 佐竹功年投手(土庄高−早稲田大−トヨタ自動車)2008.5.3

   〔2007年の日本選手権決勝のピッチィング〕

紹介:早稲田大からトヨタ自動車に入社し同じ郷土ということもあり注目していた。高校時代は瀬戸内少年野球団の映画でモデルになった小豆島の土庄高出身で四国大会に出場し注目される。早稲田大時代は、あのハンカチ王子がピッチィングフォームを真似したという逸話を持つ。大学でもドラフト候補であったが指名されずトヨタ自動車に入社。トヨタ自動車では先発・中継ぎ・抑えとフル回転。トヨタ自動車が優勝した昨年秋の愛知県会長杯と今年春のJABA長野大会で2度、最高殊勲選手賞に輝いている。体は169センチと小さいながらも140キロ後半も出るストレートでタイプ的には日ハム武田久によく似ており、今年社会人3年目となり満を持してドラフトを待つ。
フォームチェック:★★★★★
まず、上の昨年秋の日本選手権決勝のビデオを見てもらいたい。この時は不調が伝えられていたが佐竹君の好リリーフから逆転優勝を掴んだ。このビデオを見ても分かるようにピッチィングのテンポがよく力量感がある。ピッチィングフォームチェックで5を付けたのでよい点を下の写真で紹介しよう。
 1番目の写真は、ノーワインドアップに入る所でリラックスして集中している。2番目の写真が佐竹君の特徴でもありハンカチ王子も真似した所だが、ヒザを曲げてタメがある。ヒザ曲げるのは負担があるので、私が教える時には曲げ過ぎないように注意しているが程よい曲げ具合だ。ヒザ曲げる利点は、タメが出来る以外にも「体が前に突っ込まない」「フォームに余分な力が入らない」などがある。この写真で一番良い所は左足の踵が軸足を沿うように上がっている点とグラブの位置がおへその所に収まっている点だ。これにより曲げたヒザをカバーし、体が一直線に保たれる。この2点がないとバランスを崩してしまうのでこれは私が一番教えている点だ。
 3番目の写真は、左足を踏み出した所で左足の方向が真直ぐにキャッチャーに向かい、胸が十分に張れ腰がしっかりと入った形だ。グラブの位置も良く、右腕が見えていない理想的なフォームだ。
 4番目の写真は、腕を振る所でヒジの位置が高くヒジが前に出て十分にしなりがある。肩のライン(角度)も良く上から振り下ろす形が出来ている。この位置から5番目の写真の左ヒザのフィニッシュの位置に直線で描くと腕の振りの素晴らしさが分かる。小さな体で速い球を投げられる特徴は腕の振りと角度がいいからだ。
 5番目の写真は、フィニッシュしている所で上体と右腰が左足に十分に乗っている。また、最後まで腕を振り切っているのが分かると思うが力を込めると、この腕が反対方向に戻ってくることが上のビデオでも確認できる。腕が最後まで素早く振れている証拠だ。最後に、ピッチャーを目指す選手に言いたいのは、全ての写真でいえるように、一度も目を切らず最後までキャッチャーミットを見ている点であり、このことが佐竹君の内面である向上心や向かっていく姿勢が読み取れ、完成度の高い素晴らしいピッチィングフォームに仕上がっている。


第2回 浅野祥伸(今川ビクトリー−富士松中−愛産大三河)2007.4.15

   〔正面〕

紹介:2年前市川を擁しても勝てなかったあの矢南アローズに学童の西三河決勝で5年生チームが勝ったというニュースが飛び込んで来た。その時のエースが浅野君だった。そのチームは6年生になると刈谷市の公式戦で無敗の大記録を残し今年卒団した。浅野君の成績をみても殆ど点を取られていない。それだけ安定したピッチィングがフォームにも表れている。
フォームチェック:★★★
キャッチボールから見ていたがスピードは当時の市川より少し速く背筋力が強い。松坂に代表されるこのタイプのピッチャーはテークバックから腕の振りが速いのが特徴だ。フォーム全体を見てもスムーズで大きな問題はない。特に足を上げて踏み出すまで上半身がブレずバランスがいいのが安定したピッチィングに結びついている。私がよく言う「頭の位置が安定し最後までキャッチャーミットから目を離さない」ことも出来ている。浅野君には、これから中学、高校と進んだ時のことを考えて何箇所か指摘した。
 まず足を上げて下ろす時勢いをつけてリズムを取っている。力強さを増すためにいいようにも見えるが、それならばもう少し足を高く上げて勢いを出すことを勧めた。足を高く上げるとすれだけタメができ、やや急いでいるようなテークバックでの右腕の動きもゆっくりとなり大きく胸を広げられるはずだ。左手もしっかり伸びないまま折り畳んでいるのがもったいない。但し、足を上げる方向は良くお尻がキャッチャーの方向をよく向いている。
 次に指摘したのは左足を踏み出した時に右足が早く離れている点。やや股関節が硬いのか、左足に体重がしっかり乗らないまま右足が離れてしまうので腰が入らず残ったままの形になり胸も十分には張れていない。下の市川のピッチィングフォームのように左足の膝がキャッチャーの方向にもう少し移動し胸が左足に付くぐらい上体が乗ってくると良い。それには、ボールもっと前で離す(球持ちを良くする)ことを考えて投げると良くなるだろう。そうすればフォロースルーで左脇に来ている右腕ももっと伸びて左膝のいい所に収まるだろう。
 テークバックでの力感が最後に抜けたように見えるのは左足への体重の乗り方が不十分なので、走り込んで股関節を柔らかくすれば、全体的に高めに集まる球が、低めに伸びて来るだろう。非凡な逸材だけにもっと大きくダイナミックなピッチィングフォームを身につけて欲しい。


第1回 市川鉄清(三河スターズ−岡崎北部クラブ−静岡商)2005.12.18

   〔正面〕

紹介:スターズでピッチャーとして約2年教えてきたが小学生にしては身長が高く、長い手足を十分に生かした素晴らしいフォームである。下半身も安定してきてバランスが良くコントロールも安定してきた。加えて力みのない柔らかいフォームなので試合終盤になってもスピードは全く落ちない理想的なフォームに仕上がってきた。今後も下半身を鍛えていけば将来大きく育つ逸材である。
フォームチェック:★★★★
正面からのフォームでチェックすると足を高く上げているが軸足の膝はブレない。やや左足が後方に上がるので入り過ぎないように注意したい。また、この撮影前に軸足にタメをつくるように指示したので2段モーションになっている。次に、左足を踏み出すまでの動きは非常に良く、左右の腕が均等に大きくゆったりと動き下半身もそれについていく感じだ。静止してみると「大」の字を大きく描いているのが分かるはずだ。 以前は上体がキャッチャー方向に突っ込んでいて「お尻からキャッチャーに行け」と言っていたが、最近ではこれも修正されている。大の字を描いてから切り返しが始まるので、肘はちょうどいい高さとなっている。次に、踏み出しだが27.5センチのスパイクで6歩と大きく踏み出しているが、後方から見るとややインステップしているのでまっすぐ踏み出すようにしたい。また、踏み出しからは左腕も十分使えていて問題ない。キャッチャーから目も離していない。長い腕も前に大きく伸ばし左膝の下まで振り切っているのでスケール大きい投げ方で、なかなか他の小学生には真似出来ない。投げ終わった後は、左足に十分に体重が乗っているが、膝が突っ張ったままになっているので最後は沈みこむとバランスが更によくなるであろう。



 ■お父さんでもピッチィングコーチになれる!
  ★経歴から考え方も私に似ている桜井一氏の投手育成法